第12章 ◆夜が明け
薄ぼんやりと
空が赤く晴れてきた頃
五人は
夏目とさなが
最初に連れられた部屋へと戻り
健司をソファに座らせ
名取と的場も健司が見張れる
反対側の左右のソファへと各々腰を掛けた。
「 此処で、
船場に着くまで待ちましょう。
・・・もし逃げるようでしたら
今度は私の弓でその胸を貫きますから
ご理解くださるよう。」
「 ・・・ッ。」
「 相変わらず、
物騒な物言いだな・・・静司。」
ソファに座るや否や
痛む腕を動かす健司を横目に
くるり、と矢を回し
脅すように釘を指す的場。
その様子を
机を挟み傍観していた名取が
小さく突っ込めば
的場はニコリと微笑んだ。
そんな三人のやり取りを
窓際の方から見届ける夏目は
苦笑をしながら
ニャンコ先生を胸に抱いていた。
そして、後ろを振り向き
ぼーっと窓の外を眺めるさなの肩を
優しく叩く。
「 ・・・さな、
さなも座った方がいい。
少しでも休まないと。」
夏目に触れられハッと振り返るさな。
その顔はまだ血の気が無く、
首元の血の跡や、両手に巻かれた
真っ赤になってしまった応急処置の跡を見て
夏目が少し顔を顰めて
休息を促したが
「 もう少しだけ
海を見てたいな、なんて・・・。」
夏目の表情に困惑したさなが
躊躇いがちに笑う。
「 ほら、
まさか豪華客船に乗れるなんて
思ってなかったですし、
折角乗せてもらえて
滅多に見られない船からの景色を
見れるんだったらー・・・
・・・駄目ですか?」
少し嬉しそうに話すさなだったが
話しているうちに
夏目の無の表情で向けられる視線に気付き
思わず途中で話すのを辞め
肩を落としながら、夏目を見上げた。
「 ・・・ッ!」
ー・・・く、
そんな目で見られると・・・ッ!
ナチュラルにされるさなの上目遣いに
夏目は思わず視線を逸らした。
「 す、少しだけだぞ・・・。」
「 ・・・!
はいっ!」
耳まで真っ赤にしながら発した夏目の許可に
さなはただ素直に喜んでいた。