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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第11章 ◆人と家族





「お前には分からないだろう・・・夏目貴志。


彼女の長所である正義感と

それに比例する孤独。

僕が近くに居る事さえ出来れば・・・


彼女を想う度に

どうしようもない後悔と僕は戦っていたんだ。


僕は、

彼女の孤独を救済したい・・・。


ただ、それだけだった。」




健司は力なく笑い

力無く吐くため息のように

胸の内を零す。


そして、覚束無い足で

ゆっくり小股で夏目の元へ

徐々に近付いていく。



「「 ・・・。」」



夏目に近付く健司を見て

名取と的場も直ぐ戦闘態勢に入り

瞬きも忘れる程

健司の行動を捕捉していた。




「・・・なら、どうして・・・。」


「何だ。」



健司に向かい夏目が無意識に投げた

小さな消え入る声。

目の前の健司ですら聞き返すほど

それは静かな船内の廊下でも

注意していなければ

聞き漏らすような、

そんなか細いもの。





「そんなにレイコさんを想う貴方なら


どうして、

レイコさんの孫のさなを・・・

貴方自身の身内であるさなを

消そうとするんです・・・?」



グッと、

さなの肩を握る拳に力が入る。


夏目は怒りをとうに通り越した感情を

ギリギリの所で抑え、

真っ青な顔で夏目に項垂れる

意識朦朧となっているさなを支えていた。


そして・・・




「・・・身内だからだ。」



さらり、と返す健司の言葉に

夏目はあっけらかんとして・・・、




「 ・・・・・・は?」



思わず抜けるような・・・

言葉にもならない言葉を

夏目は口走っていた。





「・・・身内だから、


夏目レイコの〝身代わり〟になる事が出来る。




・・・夏目貴志、

男のお前には不可能な

〝夏目レイコの身代わり〟を


同性のさなならば

・・・出来るんだ。」




健司は、視線を夏目からさなに変え

信じて疑わない素振りで

その得体の知れない術を話した。



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