第10章 ◆人の妖化
『はい。』
夏目の言葉に
さなは力強く答える。
「 じゃあ、行こう。」
さなの返事を確と聞いた夏目は
扉の方へと視線を向け
さなに片手を差し出した。
『・・・はい。』
さなは夏目に対して頷き
その手をゆっくりと取ると
夏目の横に並ぶ。
ーこの先何があろうとも
2人の決意は固かった。
ーコツン、コツン、
今までの足音よりも心做しか
大きく強い音で進む2人。
そして、
然程の距離は無かったのだろう、
2人が鉄製の扉の前まで来るのに
殆ど時間は掛からなかった。
「 ・・・開けるぞ。」
少し開いたままになっている扉のノブを
夏目が持つと
ギィ・・・と鈍い音を立て
ゆっくりと開けた。
「 ・・・。」
『こ、此処は・・・?』
夏目が開けた扉から光が差し込む。
それは、今まで薄暗い中を
通って来た2人からすれば
かなり眩しく映り
一瞬目を細めると
ゆっくり瞼を開けて
その光景を目の当たりにした。