第10章 ◆人の妖化
「 じゃあ、早速だけど。」
話が一段落ついたところで
名取は間髪入れずに次の話題を振る。
「さっきも言った地下に
今日集まってる祓い屋の式が居るんだ。
柊と瓜姫もそこで今待機している状態でね、
もしかすると
今居ないと言っていた猫ちゃんも
そこに居るかもしれない。
夏目とさなちゃんには
その式の解放を頼んでも良いかな?」
夏目とさな を交互に見ながら
優しく説明をする名取に
2人はゆっくりと頷いた。
『は、はい。』
「 ・・・分かりました。
けど、名取さんは?
どうするんです?」
夏目が名取の方へと一歩前に出て問う。
「 私は、他の祓い屋から
もっと情報収集をしてくるよ。
もしかしたら、止め方を知ってる者や
止めたいと思っている祓い屋も
中には居るかもしれないからね。」
そう話しながらも
名取は地下へ続く階段へと
2人を誘導した。
「 ・・・分かりました。
地下に行って式を解放した後
すぐに、名取さんと合流し・・・」
「 いや、」
夏目の話す言葉を遮る名取は
階段の前で2人に背を向ける。
「 君達はこの船から
一刻も早く出なさい。」
『・・・え?』
「 ・・・どういう事ですか?名取さん。」
名取の言葉に
夏目とさなは納得が行かず
声のボリュームを上げ問い掛ける。
「 もし、猫ちゃんが居なかったら?
もし、私と合流前に的場に見つかれば?
・・・さなちゃんが見つかれば
確実に捕まるよ。
そうなればまた振り出しに戻る、分かるね?」
「 ・・・。」
『・・・。』
名取の言葉に一切反論出来ずに居る2人は
ただ、名取の言葉を聞くだけだった。
「 夏目、
しっかりとさなちゃんを守るんだ。
・・・そして、船の外でまた合流しよう。
的場を止めるのは任せなさい。
分かったかい?」
さなは捕まらない事。
夏目は、さなを守る事。
この事項を名取は2人に約束した。
「 分かりました。」
『はい。』
2人が返事をするのを聞き
名取は微笑む。
「 ・・・じゃ、頼んだよ。」