第9章 ◆的場一門
「 ・・・?
答えになっていませんよ。」
「 あぁ、そうでしたね。
では単刀直入に言います。
・・・船に、乗ってください。」
・・・?
夏目が鋭い目で放つ言葉にも
的場は気にせず
薄ら笑いを浮かべながら言葉を交わす。
「 そうそう、
あの船豪華でしょう?
あれ、見えないんですよ、
・・・普通の人には。」
『 えっ!』
「 !?」
的場の言葉にいち早く反応したのは
言うまでもなくさなだった。
「 どういう事です?
あんなに人も集まって・・・」
「 そうですねぇ。
今日は、
漁獲祭がありますから。」
夏目が駅前から港への人の量を言えば
客船とは別の場所で行われていた
祭事を示す的場。
『 で、でも!
クラスの子が豪華客船が来るって・・・』
「 実代さん、ですか?
あの少女は、
とても良い働きをしてくれました。
今頃、
その記憶も無くなってることでしょう。
・・・さすがは、
貴女が1番
仲良くしているクラスメート、ですね。」
負けじとさなもクラスでの噂を言えば
それは明らかに下調べをした上で
巧妙に掛けられた妖術を示していた。
『 そ、そんな事まで・・・!』
「 ・・・調べたんですか、さなの事。」
さなの少し震える声に続けて
夏目は声を低くさせながら言った。
「仲良くなるにはまず、
相手の事から知りたくなるものでしょう。
・・・それとも、
知りませんか?友達の作り方。」
『 ・・・!』
「 なっ?!・・・そんな事、
あなたに関係ないでしょう!」
的場の発言に
夏目は言葉を少し荒らげる。
「 おや、図星でしたか。
冗談のつもりだったのですが
・・・では、
私が教えてあげましょう
友達の作り方。
まずは、そうですね、
ゆっくりと船内を見学しながら
お話なんてどうです?」
そうニッコリと笑う的場は
ゆっくりと2人へと近付いていた。