第9章 ◆的場一門
ー危ない・・・?
『 なんのことだろ・・・?
もっと周りをちゃんと見ろ
ってことかな?』
さなの中で引っかかる言葉を残し
女性は去って行った。
その姿を見送りながら
車が見えなくなると
さなは自宅の門扉を潜る。
ー・・・まぁいいや。
親切な人も居るんだね。
七瀬さん、・・・か。
七瀬と名乗る女性に投げ掛けられた
言葉の意味にも
さなは特に気にもとめず
部屋の明かりをともし
その日はさなひとり自宅で過ごした。
そんな灯された部屋の明かりを見て、
さなの家の外で佇む2つの影。
「 七瀬、
彼女はどうだった。」
「 はい、
一見普通の女子高生ですが
結構な妖力を持っているかと。
あの、夏目という少年と同等程に。」
「 ほーう。
それは、とても興味深い。
もっと調べる必要がありそうですね。」
七瀬と名乗る女性が
さなの家を眺めていると
その横に立つ
右目を隠した黒髪長髪の青年が
情報を提供させる。
そして、七瀬から情報を受け取ると
青年は愉しそうに微笑んだ。
「 御苦労、今日は帰りましょう。
また、日を改めて伺いますよ。
夏目さなちゃん
いや、今は
望月さな、ちゃん
でしたか。」
その青年は変わらず微笑み
目の前のさなの家に向かって
小さく声を掛けると、
後ろに停めてある七瀬の車の
後部座席へと乗り込む。
「 ・・・。」
青年の様子を見届けた七瀬も
無言で車の運転席へ乗り込むと
車を静かに発進させ、
さなの家を後にした。
「 ・・・ふふ。
これから楽しみですね。」
青年が小さく呟いたことに
この時、さなは知る由もなかった。