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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第8章 ◆田沼ノ寺





〝萩・・・


萩とは・・・、なるほど。


貴方でしたか。〟



一息ついた後に

住職がぼそりと呟いた。




〝萩のことを

ご存知だったんですか?〟



住職の発言に少女が首をかしげる。



〝えぇ、

私の祖父から伺っておりました。

まさか、貴方だったとは・・・。


それはもう怖がりで

とても心優しい妖が

ここに住み着いている、

と聞き及んでいますよ。〟


ホッホと笑い感心する住職は

萩との距離を少し縮めた。



〝・・・ッ。

明るイのは、苦手なのダ。

来ないでクレ。〟



近づく住職に対し

徐々に俯きながら呟く萩は

キョロキョロと周りの気配を見渡している。



〝ふふっ、

桔梗、貴方が萩の目になって

本を読んであげたらどう?〟



そんな萩を見て

桔梗に提案する少女はどこか楽しそうで



〝お友達なんて、

素敵じゃない。〟



そして、どこか寂しげだった。





〝オ前ハ、

人間ノ仲間 居ナイノカ?〟



夕暮れの小寒い風が

少女の髪を靡かせる。




〝レイコ。〟



そして、桔梗の問には答えず

少女は一言だけ呟いた。



〝・・・?〟



桔梗は何度か瞬きを繰り返し

無言で意味を問う。




〝夏目レイコ。


私の名前よ。



私だって、“お前”じゃなくて


ちゃんと名前があるの。〟



少しムッとした表情で

桔梗に向き直ると

ハッキリと言い放った。


その言葉に桔梗は

ふっと笑い



〝ソウカ、

レイコ・・・。


良イ名前ダ。



・・・レイコ、


私ノ名ヲ

取ッテオイテ クレヌカ ?


私ニ 友ト 本ヲ与エテクレタ オ礼ト


レイコ トモ 友ニ ナリタイノダ。〟



そうレイコに近付き

右手を差し出した。


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