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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第8章 ◆田沼ノ寺




〝ただひとつ、問題があるのです・・・。〟



先程まで

ニコリと微笑んでいた住職の表情は

口角と眉が下がり暗くなる。



〝問題って?〟



住職の言葉に少女が疑問を投げた。


その言葉に住職は少女と妖、

交互に視線を送らせた後

小さく話し始める。



〝実は・・・

もう一人、妖の気配があるのです。


気配を感じてから今まで

不吉な事は起こっておりませんから

悪さをするものでは無いと思うのですが


何せ、姿を見せないもので

少しばかり不審に思うのですよ。〟


私が見えていないだけかもしれませんが・・・

住職はそう付け加えながら軽く笑った。


その無理に笑う住職の姿に

少女はすっと立ち上がる。



〝そうね、

その妖のことなら私に任せて。


此処を貸してもらったお礼に

私が何とかします。〟



そう言って住職に笑顔を送った少女は

襖へと足を進めていく。



〝あの、何処へ行くのですか?〟



住職が移動する少女の後ろから

声を上げると少女は振り返ること無く



〝その問題を解決しに。

あなた達はここで待っててください。〟



それだけを残し部屋を出ていった。




〝行ってしまわれた・・・。〟



〝・・・。〟



残された妖と住職は

会話を交わすことはなく、

互いに視線を合わせるだけだった。

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