第8章 ◆田沼ノ寺
バンッッ!!
一瞬の衝撃がその場に響いた。
その衝撃により埃が舞う。
田沼とさなが一瞬目を背け
静かになったこの書斎へ
恐る恐る目を開け視線を戻した。
すると、
「 ニャンコ先生っ。」
静かに埃が落ちる中
ニャンコ先生が本来の姿になって
夏目の目の前で暴れるあの妖を咥えていた。
「 まったく、世話の焼ける。」
ニャンコ先生は妖を咥え文句を言いながら
夏目へと向き直った。
「ありがとう、先生。」
夏目は礼を述べつつ再度
友人帳を開く。
その瞬間に
さなは田沼の服を引っ張り
田沼の視線を夏目から外させた。
「 どうしたんだ?さなちゃん。」
「 あ、あの・・・怖くて。」
「 ・・・?そ、そうか。なら・・・」
田沼は控え目にさなの頭を抱える。
ー・・・夏目先輩、お願い・・・!
さなはギュッと田沼の制服を掴み
夏目の名の返還を待った。
・・・そして、
「 我を守りし者よ
その名を示せ・・・」
夏目の言葉に
友人帳がパラパラと捲られる。
幾つかページが捲られた後
友人帳がピタリと止まり
二枚の頁が直立した。
夏目はその頁を破り口に咥えると
手を合わせ妖へ視線を向ける。
「 桔梗、そして・・・萩(ハギ)
君に返そう・・・。」
夏目がそう放った瞬間、
書斎一面は光に飲まれた。