第8章 ◆田沼ノ寺
「そうか。
その妖が桔梗という妖に代わって
書斎を派手に散らかすことで
夏目たちの祖母に
自分の存在を告知してたんだな。」
田沼が頷きながら
納得の表情で言葉を零す。
「あぁ、妖の目的も分かったから
あとはあの妖に伝えるだけなんだが…」
「 なんだか、
固定概念の強い妖のようで…」
田沼の言葉に続けて話す二人だが
先程の妖の行動にて
完全に解決策を失っていた。
ー…名取さんが居れば、
まだ封印という手があったんだろうけど。
ふと、夏目の頭の中に過ぎる
一人の祓い屋。
しかし、
ー・・・余計にややこしくなりそうだし、
「「 名取さんは駄目だ。」」
ボソッと呟いた言葉に
何故かさなの声も重なった。
ー…あれ、
さなも同じ事考えてたのか?
そう思い、夏目がさなの方へ
視線を向けると
少し恥じらいながら笑う
さなと目が合う。
「 ・・・ですよね。」
遠慮がちに微笑むさなが
まるで夏目の心の中を読んだかのように
夏目に向けて賛成の言葉を投げる。
ー・・・だよな。
「ん?
何の話だ?」
さなの言葉で
はははと力なく笑う夏目とさなの間に
不意に田沼の声が過ぎてきた。