第7章 ◆花火祭り
そうして
夏目の気持ちも伝わりそうで
伝わらなかった時
「夏目様ー!!!」
何処からともなく
中級達の声が聞こえ
それは小さい声から段々と
大きくなり・・・
ードスンっ
「やっと見つけましたぞ!」
背中に来る衝撃と
間近に聞こえる聞き慣れた声。
「なっ!
お前たち…!」
夏目はいとも簡単に担がれていた。
「探しましたぞー!夏目様!
花火が終わったので
朝まで宴会に御座いますー!」
「は?!
お、降ろせッ…!」
既に真っ赤な顔をした中級達は
そのまま森の茂みへと足を進め始めた。
「…待てッ!さなが・・・!
・・・さな!」
先程まで至近距離に居た筈の
さなを探すべく夏目が視線を向けると
「 …ぅ」
そこには中級との衝突で突き飛ばされた
さなが地面に横たわっている光景。
「さな!
中級、降ろせ!さなが…!」
必死に抵抗するも
中級達は顔を赤らめて夏目を降ろす気配は無い。
「さなが倒れてるんだ!」
夏目が一際声を上げて
中級たちに呼び掛けると
「もう、仕方ありませんなぁ。」
中級達は面倒臭そうにそう言うと
倒れているさなの傍まで行き
その華奢な体を軽々と担ぐと
「…なんてさな様を無視するというのは
冗談でございます!」
へらっと笑い
もの凄い勢いで駆け出した。
「ど、何処行く気だ?!
俺たちは帰るぞ!
…それに西村と笹田もまだ・・・! 」
「それには心配ご無用!
彼らはしっかりと家までお届け致しました!
それに
宴会場は夏目様のお家にてございますー!」
「…何ッ?!」
耳を疑うような妖達の言葉に
夏目は終始、拒否をするが
中級たちは聞く耳を持たず
夏目の抵抗も虚しく
夏目とさなは
一目散に家へと運ばれて行った。
そして、その夜は
夜が明けるまで
夏目の部屋で妖の騒ぎ声が響いていたのだった。
「お前たち、他所でやれーーー!」
その叫び声は妖には届かず
夏目は恋の行方どころではなくなったのは
言うまでもない。