第7章 ◆花火祭り
〝夏目はさなちゃんのこと好きなのか?〟
ー…あの時は答えられなかったけれど、
今なら答えられる。
俺も、西村と同じでさなのことを…
「…好きだよ。」
「 は、はぃ?」
あまりにも小さく呟いた夏目の言葉は
さなにはハッキリと届かず
さなは急いで夏目に聞き返す。
「 ・・・あ、あぁ、いや
な、何でもないよ。」
花火が上がり終え
静まり返っている夜の空。
その星が煌めく夜空へと
夏目は視線をさなから変えてはぐらかす。
・・・思わず声に出してしまった夏目の気持ち。
聞かれて無くて良かったと内心焦りながらも
夏目は満更でもない表情に変わった。
「 ・・・?」
その星空を見上げ
目を細めて微笑む夏目の横顔に
さなは首を傾げながら
ほんのり赤色に頬を染め
少し恥じらいながらも
しっかりと夏目を見据えると
「 ・・・良かったです。
ずっと、
西村先輩と仲良しで居てくださいね。」
そう、しっとりと微笑んだ。
・・・
・・・・・・・・・
「 ・・・・・・・・・へっ!?」
ー…き、聞こえてたのかーッ?!
し・・・しかも、
俺が西村の事を好きって捉えている…!
さなの言葉に
夏目は星空を見上げていた視線を
瞬時にさなへと落とす。
視野に映るさなの表情は柔らかく
友達同士の友情を心から応援している姿。
その無垢な姿を前にして夏目は
さなには聞こえないように
ため息を一つ零したのだった。
「 ・・・。」
ー…本当に、
この想いは当分伝えない事にしよう。
何だか、伝わらない気がする。
微笑むさなを前に
そう、心に決めた夏目だった。