第2章 初デート〜White Love〜
ーSide 夏美ー
「ねぇ、なんで今日はリアカーないの?」
私はカズ君の自転車をマジマジと見て尋ねると、何時ものようにおちゃらけた口調で答える。
「何って二穴すっからに決まってんだろ!」
「二穴って、もしかして自転車に2人乗りするやつ?」
「そ!したことねーの?」
「うん、ないな。初めて!」
そう、アメリカはスクールバスが主だから、日本の恋愛ドラマみたいな自転車2人乗りは憧れだった。あ、でもよく高校生カップルならしてるの何回か見た事あるな。
「ささ、後ろに乗りたまえ!」
カズ君は嬉しそうに手招きして荷台に乗るよう催促する。
学生カバンをリュックみたいに背負って、私は嬉々としながら荷台に跨ぐ。
カズ君と初体験ができると思うと凄く嬉しくて、ワクワクした。ただ、重くないか心配だから一言声を掛ける。
「重くない?大丈夫?」
「夏美は軽いから全然大丈夫だぜ!それに伊達に鍛えてねーんだぞ?」
カズ君は後ろを振り向き、口角を上げお調子者口調になる。若干不安だけど、ここは彼に委ねるしかない。
「うん、そうだよね。じゃあ、早く行こ行こ!」
「おう!しっかり掴まってろよ!」
私がカズ君の背中に手を回すと同時に、彼がペダルを漕いで駅まで目指した。
今は冬真っ只中だから、自転車に乗ると空気の冷たさをもろに感じる筈なのに、何故か全然寒くなかった。
(それはカズ君といるからなのかな?)
そう考えながら、私は彼の背中にずっと掴まっていた。
駅に着いて私達は電車に乗る。平日にも関わらず、イブだからなのかカップルでいっぱいだった。
「夏美。初めての二穴どうだった?」
「うん!すっごい、ドキドキした!」
「はは、そりゃよかったわ。…また乗せてやるからな。」
「やった!ありがと、カズ君!」
そして六本木に着くまで他愛もない話とスキンシップを重ねていた。