第2章 初デート〜White Love〜
ーSide 高尾ー
正門まで小走りで向かっていると、夏美らしき人物の背中を見つける。
待ちくたびれたであろう彼女をびっくりさせてやろうと、俺は後ろから包み込むように抱きついた。
「おっまたせー!愛しの夏美ちゃん!!」
そして夏美の頬に、顔を擦り付ける。
折角カップルになったんだ、これ位のスキンシップは必須だろ?
「カズ君!…もう、くすぐったいよぅ。」
彼女は困りながらも基本拒否しない。
艶っぽく漏れる声と赤ちゃんみたいなスベスベの頬、甘い匂いがマジでたまんねぇ。
「んー。いいだろ、カップルなんだし。」
そして、誰もいないのをいいことに俺は目を閉じて夏美の頬に音を立ててキスをした。
目を開けて夏美を見ると、口が微妙に開いておりウルウルした目で恥ずかしそうに俺を見つめていた。
全く、アメリカ育ちのくせして結構初心だよな。だけど、超可愛い。
そんな顔されたら、大事にしたいし、守りたいと本気で思う。
俺は割れ物を扱うように低くて真面目な声と口調で謝る。
「…遅れてごめんな。これで許してくんね?」
「…ううん、もういいの。それより、早く行かないとね!」
夏美は微笑んで俺を許す。その笑顔はまるで天使のように優しくて、夜だというのに眩しかった。
俺もつられて口元が緩み、夏美の手を引いてチャリ置き場へ向かい、俺のチャリを出す。
夏美は不思議そうに俺のチャリを見ている。訳はなんとなく検討が付いている。
今日はリアカーないんだわ。そう、高校生カップルなら1度は絶対するあれをやるために。
このために、わざわざ真ちゃんに次の日ジャンケンなしで乗せると了承も得たんだ。