第2章 初デート〜White Love〜
大袈裟かもしれないけどこれは本当に思ってる事だ。だって真ちゃんは私の大事な友達だもん。
「…氷室、そういうのは、高尾だけに言うのだよ。」
何故か真ちゃんはそっぽを向いて震えた声で言った。
構わず私は真ちゃんの顔を覗こうとする。
「真ちゃん?どうしたの、急に?」
「…な、なんでもないのだよ!じゃあな!」
「えぇー!ちょっと真ちゃん!?」
いきなり声を張って捨て台詞を言い放ち、真ちゃんは足早に去って行く。
「…行っちゃった。」
呆然と立ち尽くしていると、後ろから誰かに抱き着かれる。
勿論こんな事をするのはただ1人だ。
「おっ待たせー!!愛しの夏美ちゃん!!」
そう、カズ君だ。カズ君は周りに誰もいないのをいいことに頬を擦り付けてくる。
「カズ君!…もう、くすぐったいよぅ。」
「んー。いいだろ、カップルなんだし。」
(カズ君てば、ずるいじゃない。)
ちょっと遅れてきたけど、そうスキンシップされたら段々怒る気がなくなってくる。
擦り付けられてるうちに、カズ君の唇が私の頬に触れ、彼は次の瞬間目を閉じチュッとリップ音を立ててキスを落としてくれた。
「!!」
お兄ちゃんによく頬にキスをされるから慣れてるつもりだったけど、やっぱり大好きな彼氏にされると違う。心臓と脳天に響いて顔が一気に赤くなり、腰を抜かしそうになる。
それに普通にキスされるよりもなんだか愛されてるって感じが私はするんだ…。
そして、カズ君は私を見つめて低くて真面目な声と口調で謝る。
「…遅れてごめんな。これで許してくんね?」
「…ううん、もういいの。それより、早く行かないとね!」
(寧ろ、許せざるを得ないよ…。)
私は微笑んで許すと、カズ君は私の手を引き一旦自転車置き場へ向かって、彼は自分の自転車を出す。
そして、何故かリアカーがない事にここで初めて気がついた。