第4章 俺がアイツで、アイツが俺で 【前編】
「おい、高尾。何か思いついたか?」
両腕を組んで仏頂面をしながら聞く真ちゃん。
てか今は俺の姿をしてんのに表情がまさに真ちゃんって感じで正直不思議だ。
そうなっと容姿とか関係ないのかなー?やっぱ中身と表情が大事なんだな。
俺の姿をした真ちゃんを見て感心してると、ヤツは怪訝な顔をした。
「おい、聞いてるのか?」
「あ、わりぃわりぃ。…思いついたってか、漫画の話なんだけどそれでもいい?」
「もうこうなったらどんな手段でも構わん。話を続けろ」
とヤツは言うものの、俺が言おうとしてることを絶対に信じる気がしない。
俺だってそんな趣味ねえから、マジで嫌なんだけどそれしか思いつかないから唾を飲み込んで恥を捨ててヤツに話した。
「…漫画だと入れ替わった時とおんなじ事して戻るってのがオハコなのよ。」
真ちゃんの顔を見てみると察したようで、ヤツは顔が物凄く青ざめていた。
「ま、まさか、またさっきと同じ事するのか!?」
「だってそれしか思いつかないんだけど。てか、俺だって嫌なんだからな!」
「男同士でなど2回もしたくないのだよ!!」
駄々を捏ね始める真ちゃん。
俺だって本当は嫌で嫌で仕方ねーけど、それよりも元に戻りたいから決心が着いたところで、俺はヤツの両肩を掴み言い聞かせる。
「な、何するのだよ!?まさか、本当にやるのか!?」
「元に戻りてぇんだろ!?もう一か八かだぜ!!」
「嫌なのだよぉぉぉ!!」
真ちゃんは俺の頭を物凄い力で無理やり押さえつけてくる。
が、ここで引くわけにはいかない。
「うっせぇ!いい加減諦めろよ!」
頭を押さえつけてる手を掴んで無理矢理放し、俺は真ちゃんの頭を持ち顔を近付ける。
何度も言うけど真ちゃんは今俺の姿をしているから、俺は自分とキスするみたいで余計嫌だ…。
けど、そんなの構ってられねぇ!!
「……行くぜ、真ちゃん。」
「もうどうにでもなれ」
真ちゃんは目一杯目を閉じて顔を強張らせる。
そして、俺達は2度目の屈辱的なキスをする…。