第4章 俺がアイツで、アイツが俺で 【前編】
「…うぅ、いってぇー、あぁ気持ち悪!!」
「…う、それはこっちの台詞なのだよ」
俺達は同時に目が覚め、お互いに頭を押さえる。俺は口元を手で拭いながら、重い身体を上げると頭にクエスチョンマークが飛び散る。
あれ、ちょい待ち。俺、真ちゃんの下にいたはずだよな?なんで、俺が上にいんの?
てか俺の声こんなに低かったっけ?
俺は目を全開にして状況を確認した。
なんと、そこに俺が俺をマジマジと見つめている。鏡を見てるかのように。
当然、流石の俺も頭がパニックになって声を荒げ慌てた。
「ん?んんん!?何で俺がもう1人いんの!?どうなってんだ!?」
そして、目の前の俺が俺を指差して口をわなわなと開きながら驚いている。
「……俺がなんでそこにいるのだよ!?しかもその話し方はなんだ!?」
俺だって、そんな真ちゃんみたいな変な口調じゃねーし!!
ん?待てよ?
ここで俺は漫画でしかあり得ない事を思いついてしまうもとりあえず立ち上がって身の回りと身体を確認する。
そしてもう1人の俺も立ち上がって同じように確認していた。
眼鏡、いつもより幾分か高い視界、服装、長い手足…。
ま、まさか!?やっぱり…!?
俺は即座に体育館のでっかい鏡の前に行き、今の自分の姿を写す。
嘘だろ!?あ、あり得ねぇぇぇ!!
勿論、自分の予測が当たってしまったことにめっちゃショックを受けて両手で頭を押さえつけて心の底から叫んだ。
「……。俺が、俺が、真ちゃんになってるうぅぅぅぅぅ!!」
そして、もう1人の俺も隣に来て、鏡の前に立ち俺と全く同じリアクションを取る。
「…なんてことなのだよ!俺が、俺が、高尾になってるのだよおぉぉぉぉぉ!!」