第4章 俺がアイツで、アイツが俺で 【前編】
俺は真ちゃんにパスを出し、真ちゃんはいつもと変わらない綺麗なフォームで長距離3Pシュートを放ち、ボールがしなやかにゴールに入っていく。
相変わらず何度見ても、すげーな……。
俺は口笛を吹いて真ちゃんを褒めるも、ヤツはいつも通り鼻で笑う。
まぁ、素っ気ないのはいつものことだし特に気にも留めない。
そんなあいつに刺激され、俺もレイアップをしたり、コーンを置いてドライブや切り返しの練習をする。
キリのいいところで休憩してから、今度は真ちゃんにディフェンスを頼み、俺はさっきと同じようにドライブの練習に励んでいたその時にとんでもねー事が起こった。
そう俺達が睨み合い、俺が真ちゃんのスキを突いて抜けレイアップをしようとした時だ。
「……よっしゃぁ!いっただきー!」
「…ふん!甘いのだよ、高尾!!」
あの真ちゃんを抜けた喜びで俺は油断してたのか、前からヤツがブロックしてボールを弾く。
「嘘だろ!?ちっくしょー!」
俺は一足先に着地して悔しがっていると、バランスを崩したのか真ちゃんがどんどん俺に近づいて来る。
「どけ、どくのだよー!!」
「え、なになに!?って、ん!?」
その瞬間、真ちゃんと俺の唇がブチュッと重なってしまった……。
そしてあらゆるショックを感じる暇もなく、俺達は床に倒れ込み、俺は真ちゃんに押し潰された。