第3章 もう我慢できない… *裏
私とカズ君の家は近いから自転車を漕いで彼の家へ向かう。ただ、さっきのお兄ちゃんの一言もあって、楽しみと不安が絡まっていた。
(…んん!?あの人、絶対真ちゃんだ!)
複雑な気持ちの中、途中で緑の髪をした背の高い男の人がこちらに向かって歩いていた。
目を凝らすと真ちゃんだと気づき、私は手を振り大きな声で呼びかける。
「真ちゃん!」
「…?氷室か。こんなとこで何をしている?」
真ちゃんは相変わらずの仏頂面で私を見る。けど、そんなのいつものことだから怖くもなんともない。
「今日ね、カズ君の家で一緒に勉強するんだ。」
私は目を俯き、赤面する。だけど真ちゃんは何故か反応をしてくれない。
彼を見上げると、複雑そうな顔をしている気がした。
「どうしたの、真ちゃん?…具合悪いの?」
「…氷室、高尾の家に行くのは初めてか?」
「…うん。」
真ちゃんからそんな事聞かれるなんて正直驚いてるけど、恥ずかしさの方が圧倒的に勝り俯いたまま返事をした。
「…ねぇ、真ちゃん?」
「何なのだよ?」
「…真ちゃんも好きな女の子がいたら、すぐにしたい?」
「な、な、なに言ってるのだよ!?」
彼を見上げると、眼鏡から飛び出すほど目が見開いて赤面しており、口がわなわなと開いていた。
(…やば、直球すぎた?)
だけど、真ちゃんの意見がつい聞きたくて仕方がなかった。真ちゃんは一旦溜息をついてから、私の両肩を掴み顔を近づけ真剣な眼差しを向ける。
「…真ちゃん?」
(なんか、いつもの真ちゃんじゃない。どうしちゃったの…?それに睫毛なが!)
私は思わず対応に困ってしまい、彼の顔をただ見つめるだけだった。
「…俺が高尾なら、すぐに手を出さない。お前の気持ちを優先する。」