• テキストサイズ

Field Of View 2〜もう逃がさない〜

第3章 もう我慢できない… *裏


久振りにされたもんだから、思わず顔が緩み、カズ君よりちょっと広くて逞しい胸元に顔を埋めた。


「はは、甘ったれなとこは変わんないのな。」

「いーでしょ!だって久振りなんだもん、お兄ちゃんにハグされるの。」

「…ふ、可愛いやつ。」


お兄ちゃんに甘く囁かれて私は思わず微笑むけど、すぐにお兄ちゃんはハグを解き、私の両肩を掴んで心配そうに私を見つめた。


「もし、彼から求められて嫌だったら、ちゃんと断るんだよ?」


(そんな事は言われなくてもわかってる、でも私は…。)


「けど、カズ君に面倒臭い女だって思われたら、どうしよう…!」


私はお兄ちゃんの服を掴んで泣きつく。


「…もし、そうなったら彼に夏美の隣にいる資格はない。」


「それはつまり、もしそうなったら別れるってこと…?」


顔を上げるとお兄ちゃんは厳しい顔をしており、目線も鋭かった。


「…ああ、欲望を優先させるようならそれまでだったってことになるな。」


(嫌、そんなの嫌…!!)


私は別れる時の事を考えてしまい、涙がポロポロと出てしまう。お兄ちゃんの胸元で目を擦り、涙を拭く。


「…厳しい事を言うようだけど、お前のために言ってるんだ。じゃないと、あの時の二の舞になるよ。」

「…でも、でも!」

(別れたくない…!カズ君はそんな人じゃないよ…!)


お兄ちゃんは泣きじゃくる私の背中を摩り、今度は優しく囁いた。


「大丈夫さ、俺が彼を見込んだんだぞ。彼なら夏美の事を第一に考えてくれるよ。もし、見込み違いなら、容赦はしない。」


「お兄ちゃん…。」


私はカズ君を信じてるし、これからも信じたい。
今までカズ君がくれた愛や思い出は嘘なんかじゃない。


お兄ちゃんの胸元に暫く抱きついているとクッキーが焼け、服を着替えて準備を済ませると家を出た。



/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp