第13章 見つめる先にあるものは
藍蘭
ほんとはずっと起きていたんだ。
でも、目を開けたら覚めてしまう様な
あたたかな温もりに触れていたくて。
思っていたより私の気持ちは傾きやすいのだろうか。
好きとは伝えないと思ったはずなのに、
触れてしまいたいと思うのはやはり軽率なのでしょうか。
ふわりと降ろされたベットのなか
椅子をそばに置く音がした。
「藍蘭さん、俺を選んで。」
「好きになって。」
まっすぐだ。
痛いくらいまっすぐな言葉が私に刺さる。
今日私に伝えてくれた言葉すべてが
まっすぐで、温かい。
でも、痛い。
その理由は、初めてキスしてしまったときに
気づいてしまった。
もっと前からなのかもしれない。
キィと、椅子が音を立てた。
赤葦さんが立ち上がったんだと思う。
少しだけ目を開けると、
ベットには冷たいシミ。
月明かりに照らされて光る涙痕。
「泣かないで。」
彼から逃げた。
今まで逃げてきた''それ,,と同じ様に顔を背けた。
開いた口は止まらなかった。
堰を切ったように感情が流れ出す。
「困った様にわらうのがすき。
口元だけ綻ばせて、こっそりわらうのがすき。
なんでもない様にわらうのがすき。」
なんだか悲しい。
ものすごく痛い。
自分でも制御できないくらい
いろんな感情が暴れてる。
でも確かなことはある。
「だからどうか泣かないで。」
あなたには、笑顔でいて欲しい。
いつまでも、私にそれを向けていて欲しい。
背いていた''好き,,が私を満たす。