第13章 見つめる先にあるものは
赤葦
なんだろう。
このもどかしさは。
イライラしていても何もいい方向に向かないと
わかっていても変わらない自分も、もの悲しい。
投げかけた視線は交わらずに。
かけようとした声は届かずに。
伸ばした手は触れられずに。
彼女を見ていると自分の想いばかりが
空回っているように思えて
それが一層心に冷たくのしかかる。
あの夜言った彼女の言葉の真意はわからない。
でも彼女の本当の言葉だとしたら?
そう思うと胸が狭くなる。
赤「会いたいっ…。」
苦虫を潰したような表情の赤葦を見た影は、
苦しそうな表情を浮かべた。
「ごめんな、俺はなんもしてやれない。」