第13章 見つめる先にあるものは
藍蘭
蛍は私に名前呼びを課して、
それを条件に練習に参加することになった。
木「じゃ、俺もスパイク決めたらね!」
なんて言葉が加わって
月島君及び蛍が、練習に加わり、
勢いよくスパイクを撃ち抜く光太郎。
ちなみに木兎さんは、たくさんスパイクを決めたので
きっちり私に名前呼びと、丁寧語禁止令を出しました。
木「見た!?今の俺さーいきょーう!!」
赤葦さんのところにハイタッチを求める。
すっと避けて、鉄郎の蛍への指導へ加わる。
シュンとした彼へ声をかける。
藍蘭「ナイスキー!」
パッと顔を上げ、こちらに走ってくる。
木「藍蘭、ウェーイ!」
赤葦さんの代わりに私とハイタッチをするらしい。
座っていた私に合わせて光太郎も身を屈めた。
パチンッ!と良い音がして、
少し赤くなった掌を見つめる。
それから、視線を木兎に合わせると無邪気な笑顔で
こちらを見ていた。
藍蘭(かわいい…。)
気付けば手を伸ばして、光太郎の頭を撫でていた。
目を見開く光太郎を見て初めて気付く。
藍蘭「ご、ごめんね。」
咄嗟に手を引くと、
引いた手を掴まれて、キスされた。
キスした手の甲を見つめながら
木「頭撫でられるってなかなか 無いから
新鮮だな!うん。」
なんだか1人で頷く光太郎の後ろに影が…。
黒「じゃあ、俺が撫で回してやるよ。」
赤「俺が毎日、やってあげましょうか。」
木「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」
髪をグシャグシャとかき乱されながら、
コートへ戻っていく木兎さん達を見ていた。
すると、赤葦さんが振り返って、
こちらに走ってきた。
その動きは、滑らかすぎて、本当に言葉が発せなかった。
すっ…と左手をとって、軽く口付けをする。
赤「…消毒です。」
そう言い残して、コートへ戻っていった。
その姿を見つめながら、そっと手を重ねた。