第13章 見つめる先にあるものは
藍蘭
気づけばもうラストの試合だ。
外を見てもまだ明るいため、
感じている時間よりも、実際の時間は短い。
私たちマネージャーは、救急箱やボールを
選手たちが線審やワイピングをしながら盗んでいるうちに
ものを片付ける。
これだけ上手いチームが揃っているんだ。
技をしっかり観察して、武器にしてほしい。
清「やっちゃん、藍蘭、これで最後みたいだから、体育館戻ろうか。」
はいっ!と隣でやっちゃんは返事をした。
潔子は、私が頷くと
「じゃあ、行こっか。」
と、踵を返した。
体育館に戻ると、
今日1日無敗の梟谷さんとコンビが凄い森然さんが
戦っていた。
今日の最後に森然の試合を見れてよかった。
これを目に焼き付けて、しっかり覚えてるうちに
練習したほうが身につく。
藍蘭「本当に充分な環境ね。」
練習も体力の続く限りはやれるし、
素敵なお手本が身近で見られて、
コツやアドバイスだって聞くこともできる。
バレーが好きなみんなには、
辛いけど、楽しくて仕方がなさそうだ。
そんなことをかんがえてると、
試合終了の短管が鳴り響く。
挨拶をした後、各々体育館を出て行く。
そんな中私を呼ぶ声
木「藍蘭ー!」
振り返ると大きく手を振りながらこちらに走ってくる木兎さん。
木「これから暇?」
藍蘭「やること終われば、時間はできますね。」
パッと表情が明るくなって、
木「時間があったら、第三体育館!」
藍蘭「第三体育館?」
木「練習するから!見てくれたら、疲れない!頑張るから!」
疲れないということはないだろうけど…。
藍蘭「わかりました。応援しに行きますね。」
やったー!なんて言って喜ぶ木兎さんに、
一礼して、踵を返す。
待ってくれる人がいるなら、
はやく終わらせてしまおう。
スコアブックを抱え、少しだけ急いで体育館をでた。