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第12章 苦さと、甘さと


藍蘭

田「今思ったんですけど、なんで大地さんの事、名字呼びなんですか?」

確かにそうだ。

孝支は、小さい時からだったから
考えずに呼びすてでいた。

二年生は、冴子さんが習慣にしてくれた。
その時はその時で、私があまり慣れてないから大変だったけど…。

藍蘭「なんとなく…。同学年だったから?」

澤「同学年なのに、距離あるよなぁ…。」

藍蘭「そんなことっ!」

澤「そういうとこだよ。違うの一言でいいのに。」

藍蘭「そういう風な感じが当たり前になってるのだもの。しょうがないのよ。」

東「言葉遣いが、高貴そうだもんな。」

西「俺らん時は、普通ですよね?」

菅「お母さんが、そういう言葉遣いさせてたもんな。女性らしくーって。」

澤「気、使われてるのか?」


自分抜きに自分の事を言われて、
いたたまれなくなって

藍蘭「ご、ごめんなさい。」

澤「藍蘭のこと、悪く言ってるわけじゃないよ。」

藍蘭「悪く言う様なみんなじゃないって知っているけど…。私のせいで…。」

私が少しだけ下を向くと

菅「じゃあ、大地って読んでみれば?」

さらっと言う孝支の顔を見る。

藍蘭「二年生のことを呼び捨てにしたりするのも大変だったんだから。」

菅「それはわかってる。けど、慣れたんだろ?
要は試しだろ?やってみたらいいんじゃない?」

藍蘭「ゔー…………んー………?」

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