第12章 苦さと、甘さと
澤村
澤「おい、お前ら前向け。」
前の座席から身を乗り出して、
藍蘭をみる2人
田「女神がいるのに、見るなという方が罪です!」
西「少しでもその御身を焼き付けておきたいのです!」
縁「アホか、お前ら。」
縁下が2人の首根っこを掴んで、
ひきはがす。
隣には気付かずに寝息を立てる藍蘭。
澤「呑気だなぁ…。」
縁下が説教している。
田中と西谷が口々に減らず口を叩いている。
それなのに此処だけ違う時間が流れているような錯覚におちいる。
藍蘭「私は勝手に寝てしまうと思うから、気にしないでね?」
何て言ってたけど、気にするっつーの。
顔にかかる長い髪を避けても、気付かない。
バスが急停止して、身体が揺れる。
その反動で藍蘭が
こちらに寄りかかってきていた。
縁下達の事は気にせずに
頭を撫でる
そして、手を重ね目を閉じたのだった。