第12章 苦さと、甘さと
藍蘭
藍蘭「孝支、もう大丈夫だよ。ありがとう。」
校門の前まで来て立ち止まる。
菅「あぁ。」
私から手を離すと、離れた体温。
バスの前では日向たちの騒ぐ声が聞こえる。
もう何人か集まってる様だ。
藍蘭「夜中なのに元気ね。そうだと思わない?孝支。」
菅「そうだな。」
心なしか寂しげな色を見せた瞳に隠したものはない?
決意の様な、頑固な意思。
あったかい何かで包む様な優しさが、
苦しいくらいに巻き付く様な。
その苦しみからは私は救い出せない様な気がして、
大切に思う君に笑いかけた。