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300Kmと0㎝

第11章 翔び立つ烏の雛達は



藍蘭

藍蘭「影山くん?」

昼休みなのにボールの音がするから
見に来てみると、一人でトス練習をする影山がいた。

影「藍蘭さん。チワッス」

藍蘭「お疲れ様。」

影「どうも…。」

ぺこりと頭を下げた。

練習の邪魔になりたく無くて、

藍蘭「続けていて。構わないなら、見ていてもいい?」

影「別に、大丈夫です。」

体育館の中に入って影山のトスを見る。

藍蘭(トス、変わった。誰かに教わったのかな?)

ペットボトルを並べた場所にやわらかなトスが上がる。

ズレればもちろん悔しそうだし、
ちゃんと上がっても、自身にしか気づかないようなミスに気づいて、小さく舌打ちをしたり。

彼の中には、この場所には、彼しかいないようだ。

「かっこいいなぁ。」


あ、今日見た中で1番のトス。

少し嬉しそうな顔をしてた。

きっとこれを日向くんが打てば…

丁度良くチャイムが鳴る。

藍蘭「ネット、下げるね。」

ハンドルを持ちネットを下げに行く。

影山も、ボールを片付けたり、ペットボトルを回収している。

ハンドルを差し込みクルクルと回していく。

不意に、回す手が止められて
背中には影山の体重がかかっていた。

影「さっきの、もう一回言ってもらってもいいですか。」

藍蘭「さっきの…?」

つぶやいたものであろうか。
あれが聞こえてたとすれば、そうとうな聴覚だろう。

藍蘭「かっこいいよ。」

影「あざす。も少しこのままでいいスか。」

藍蘭「授業、あるんだけどなぁ…。」

影「すいません。」


授業には行かせてくれないようだ。



















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