第11章 翔び立つ烏の雛達は
藍蘭
部活から帰ってきた私は机でメニューを考えていた
練習メニューを考える手を止め、顔を上げる。
応援したからには、彼らの手伝いがしたい。
コーチがいなくても彼ら自身で出来るような
事をまとめていた。
不意のコール音
知らない番号…。
藍蘭「どちら様ですか。」
『今どこにいるの?』
質問に質問で返された。
どこか知ってる声。
『藍蘭?聞こえてる?』
「うん。聞こえるよ、研磨。」
『今どこにいるの?』
「家にいるの。」
『そっか。ねぇ、メモとかある?』
「うん。」
『09058XX△◯□X』
「ま、待って。」
メモを取り出して、めもする。
『いい?それ、俺のだから連絡して。』
「うん。じゃあ、私のは…」
『いい、覚えれないから。』
「う、うん。」
『藍蘭が連絡してよ、好きなときでいいから。』
「わかった。」
携帯の奥から、黒尾さんの声がする。
本当に、仲がいいようだ。
『クロきちゃったから切るね、またね。』
「うん。」
私の声が届いたであろう直後に、電話は切れた。
(セッターなのに、覚えきれないって、サインとかどうしてるのかな?)
なんて事を考えながら、孤爪 研磨 と、メモに書き加えた。
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孤爪
黒「誰に電話してたんだよ、俺のやつで。」
勝手に借りていたスマホを指差す。
孤「別に。それよりクロ、いつの間に彼女の?」
黒「アドレス見てたのかよ。木兎だよ。」
孤「ふーん。」
黒「なんだ、気になんのか?教えてやろーか。」
孤「別に。」
もう、知ってるし。なんてことは心に秘めて、
やりかけのゲームに目を戻した。