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300Kmと0㎝

第11章 翔び立つ烏の雛達は




藍蘭

最近日向と影山の仲が良くない。

合宿中にも、その前兆があったが、
日向達のプレースタイルは彼らでなければ
どうしようも出来ないのだ。

これは、マネージャーの私には何も言えない。
先生にも、コーチにも、キャプテンにも。

彼らで解決するからこそ、新たな力を得ることができるはずだ。

バシッ!!

菅「藍蘭危ないっ!!」

声に気付いた時には時遅く、目の前にボールが迫っていた。

ただ立ち尽くすことしかできない私の前に
黒い影は飛んできた。

「大丈夫ですかっ!」

顔を上げると、ボールを持つ日向がいた。

藍蘭「ありがとう、日向。」

そこに東峰君がやってきて、

東「ごめん、藍蘭っ!怪我とかないかっ!」

オロオロと心配してくれる彼は、
救急車でも呼ぼうとする勢いだ。

藍蘭「大丈夫よ、東峰君。少しびっくりしただけだもの。
それに、日向が助けてくれた。」

日向の方を向くと、何故かピシリと敬礼をきめていた。

藍蘭「だから、大丈夫。いってもいいよ?」

と、コートを見て言うと東峰君は、
心配しながらスパイクに戻っていった。

藍蘭「日向。」

日「はいっ!」

戻ろうとする彼を引き止めた。

藍蘭「私は、日向が好き。」

日「!?」

藍蘭「それと同じくらい、影山も好き。
プレーのことは、私には何もできないけど、
私は心の底から応援してる。
だから、新たな武器、見つけてね?」

日「ハイッ!」

まっすぐな目は、ひたすらに貪欲で
綺麗な輝きを持っていた。

藍蘭「…頑張れ。」

彼の背中を少しでも押せる様に、
そっと背中に呟いた。





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