第6章 想う猫への答
赤葦
抱いていた腕から力を抜いて
そっと彼女の頬に触れる。
涙で潤んだ目で俺を見つめる。
やっぱり無理だ。
感情に任せて、俺は唇を塞いだ。
理性の鎖なんか、振りほどいて。
涙が止まって、驚いたような顔で
真っ赤になっていた。
藍蘭「なんで、こんな事…」
なにも言えなかった。
自身が起こした過ちを取り繕う言葉もなくて
ただ彼女を抱きしめた。
藍蘭「誤魔化すんですかっ。」
強めに放たれた言葉が俺に突き刺さる。
平手打ちの一つや二つされたっておかしくなかった。
でも彼女は、俺を抱きしめた。
藍蘭「好きになっちゃうじゃないですかっ…」
また唇が触れた。
自身も整理がつかない状況で。