第2章 黒猫は子猫を連れて
黒尾目線
何から何までやってくれて嬉しかった。
仮病だなんて気づきもせずに。
なんだかちょっとわるいきはするけど。
俺的にはすっごく嬉しい状況だ。
この罪悪感は、
彼女に対するものなのか、
それとも赤葦に対するものなのか。
考えても、答えなんてものはなさそうだったから、考えるのをやめた。
藍蘭「監督さん方に伝えてきますね。」
なんてこと、しなくていいのに。
俺は、君といたいんだ。
そう伝えたいのに、いえなくて。
代わりに手を伸ばして、抱きしめたんだ。
逃げてしまわないように。
キツく
キツく
彼女の言葉が途切れ途切れになった。
焦っているのだと、抱きしめているからわかった。
上がり続ける体温。
激しく打ち出す鼓動。
全部俺の所為。
本当に、俺だけのもとになればいい。
もっと、もっと、俺を感じてよ、藍蘭ちゃん。