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300Kmと0㎝

第5章 行く手を阻まれ揺れる想いは




赤葦


木兎さんの機嫌がいい。
藍蘭さんが、目をそらした。

きっと、何かあったのだろう。
木兎さんが、ちょっかいを出しているはずだ。

電話の声が、低くて、
また無理してるんじゃないか。何て思ったけど。
困らせていたのは、木兎さんなんですね。

木兎さんや、黒尾さん、リエーフ君が何しても勝手ですが、
心地は良くない。
かといって、それを制することは、
自分にできないし、口出す権利もない。

このまま、何もないことに…。
この想いに気づかなければ、楽だったのかもしれない。

俺と彼女の時間は少ない。

俺より黒尾さんの方が。
黒尾さんより烏野の方が。

この合宿が終わって、実際に会えるのなんて、
あと少しだけ。

彼女は三年生だ。

今年が終わればもう…。



辛い現実から、俺は逃げたかった。

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