第4章 静かに見守るあの影は…
藍蘭
結局どうしていいかわからなくなって
しょうがなく座った。
横に、というか離れてはいたけど。
黒尾「まぁ、それだけのことしたしな。」
距離を見ていった。
藍蘭「…なんで、あんなことしたんですか?」
黒尾「それ聞いちゃう?」
笑っていたけど困っていた。
黒尾「まぁ、俺の気持ち押し付けたっていうのかな。」
藍蘭「気持ち…」
黒尾「なんか、焦っちゃってたっていうか。」
また笑った。
黒尾さんは、正直わからない。
表は笑ってても、なんかあるきがする。
ああいうことがあったせいかもしれない。
黒尾「俺がどうだったにせよ、藍蘭ちゃんを傷つけちゃったし。よくない方向に行ったのは、あのあとわかったよ。」
藍蘭「そう…ですか。」
黒尾さんのこの言葉は偽りじゃないことはわかった。
黒尾「赤葦にも、あんなこと言ったけど、間違ってたな。」
藍蘭「赤葦さんですか?」
黒尾「あのあと、会って変なこと言ったんだよ。そんな余裕ないくせに。」
また、赤葦さんに聞きたいことが増えた。
黒尾「ごめん。怖かったよな。」
藍蘭「…はい。」
不意に手を重ねられた。
黒尾「あんなことした相手にこんなことしたら、もっと警戒されるんだろうけど。」
身体が、強張って頭がぐるぐるしてる。
黒尾「もっかいちゃんとしたい。忘れてほしいなんて我儘だけど。」
この声は、安心させる何かがあるんじゃないか。
そう思う程に落ち着きを取り戻して
力も抜けていった。
藍蘭「すぐになんて出来ないかもしれないんですよ?」
黒尾「それでもいい。それで、元通りなら。」
私に重ねた彼の手を包むようにして握った。
藍蘭「私もそうなれたら嬉しい…。だから頑張ります。」
黒尾「俺も、頑張ります。」
本当の笑顔だ。
きっと、彼も傷ついたんだ。
考えて、勇気を出したんだ。
私も、ちゃんと問題に向き合わなきゃいけない。
黒尾さんとのこともなんとかなって、
本当に言わなきゃいけない人に会えるようにしなきゃいけない。
また一つ、私は勇気をもらった気がした。