第14章 熱
黒尾
なんだ、こいつら。訳ありか??
藍蘭と研磨が話したのを見て思った。
いつもより、やけに穏やかな笑顔で笑う藍蘭と
なんとなくだが、研磨が以前よりも信頼したように見えたからだ。
なんとなく気にはしたが、俺は擦れてはいけない気がして。
冗談めかして声をかけると、藍蘭も冗談ぽく笑って返す。
最近よくある光景。
いつも通りの1日の始まりじゃないか。
でもやっぱり違う。
「藍蘭に絡んでないで、行くよクロ」
怪訝そうな顔をする研磨がはっきりと口にしたのだ。
「お前なー、昨日のこと覚えてんだろーな。
勝手にどっか行きやがって。
バレなかったからいいけどなー」
あぁ、これか。
言ってしまってから、気付く。
それでも2人は、いつもの表情は崩さず、
ただ笑っている。
……なんだよこれ。
絶対的な信頼。っていうのか?
研磨に、俺の他に信頼し切れる奴ができたのか。
「じゃあな、藍蘭」
俺は…1番にも、2番にすらなれないのか。