第14章 熱
藍蘭
それから私たちは手をつないだまま、
一時間近くあの場所にいた気がした。
力がなくなったかのように、ぼーっと空を見上げて。
いたのだけど、研磨の携帯があの特有の音を発して、
メッセージが届いたことを知らせた。
ジッとその画面を覗き込む研磨の横顔を見る。
弧「クロからだった。
監督たち戻るから、早く部屋戻ってこいだって。
戻らないと、クロたち来そう。」
藍蘭「鉄郎は研磨捜索得意だもんね。」
研磨はちょっとだけ恥ずかしそうに頬を掻いた。
きっと彼も、あの合宿の事を思い出しているのだろう。
弧「ここに、クロがくるのはやだから
帰ろう。」
藍蘭「うん…?」
少しだけ疑問系で返す私に小さく笑って小さく笑って
弧「大事な場所だから、ね。
ここの景色も、あったことも、
俺と藍蘭だけのものでありたい。」
藍蘭「うん…」
無言で、手を優しく話して先に歩く。
弧「今日だけ、先に行くね。
明日からは… 明日からも、隣を歩くよ。
友達としてね。」
振り返らずに彼はいった。