第14章 熱
藍蘭
その後話せる機会もなく曖昧なままの3日目の朝。
とは言いつつもまだ食堂に移動しただけだから
そんなに時間が経ったわけではない。
不意にならんで歩く彼。
孤「おはよう藍蘭。早くに何か作ってたよね。」
藍蘭「おはよう研磨。見てたの?」
ゲームをしていない彼は、
前を向きながら隣を歩く。
孤「うん、偶々ね。目が覚めてたから。」
藍蘭「そう、気がつけなかったみたいね。」
孤「俺も声かけなかったしね」
いいんだよ、と無表情だけどどこか暖かい
彼は思っていたより身長が高い。
鉄郎や蛍のように大きな人たちに囲まれてるから
あまり目立たないけど、研磨の身長は169㎝と
170㎝近い身長なのだ。
あまり背の高くない私からしたらみんな大きいのだけど。
研磨を大きいのだと感じたのは、
あの夜ジャージを借りた時が初めてだと思う。
孤「藍蘭、変なこと考えてない?」
藍蘭「ううん、考えてないの。うん。」
時々彼はこんな風に考えてることを
なんでも見透かしているように当てる。
いつかなんで研磨はそんなに人のことが
わかるの?と興味本位で聞いてみたことがある。
孤「そんなことないよ。
ただ、気になるから見てると癖とか、
そういうの見えてくるから…。
でも、簡単にみんなの事はわからないよ。」
それから彼は、でもね、と続けた。
孤「藍蘭のことは見てるから、
ちゃんと見てるからわかるよ。
嬉しそうなのも、悲しそうなのも、
俺は見てるから、ね。」
なんてことを普段多くはない笑顔を見せて
いうのだから、ドキドキしたのは
また別のお話で。
孤「また何か考えてる。」
そんなことを思い出している時に
本人に話しかけられるといろんな意味でドキドキだ。
まぁ、一緒に居るのにそんなことをいうのは
なんだけど。
孤(なんとなく楽しそうだからまぁ、いいのかな)