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もしもしカズナリくん。*短編集*

第2章 もしもカズナリくんが同居人なら。


『でもまぁいつもお世話になってますよ』

パタパタ開いたり閉じたりするタイプのゲーム機を、パタンと閉じた二宮さんが
私のご機嫌取りをするみたいにして
隣に座る。

立てた両足を両手で抱え込んで、小さく丸まる姿は
とてもじゃないけど20過ぎた男には見えなくて
不覚にも可愛い…って思って
不覚にもキュン…って胸の奥が鳴った。


『……いつもありがとうね』
「……どういたしまして」


肩に頭をコツンとつけられれば、うわぁめっちゃ好きっすってなった。

これ普通男女逆じゃね!?とか思うけど、この女子力高い系男子に関しては、そんなこと関係なくて。

うん……好きです。


「……ねぇ」
『うん?』
「二宮さんはさ」
『うん』
「……彼女ってほんといないの?」
『え?』
「あ!いや! 別に深い意味じゃないんだけど!! ほらぁやっぱり二宮さんの年齢で彼女の1人もいないんじゃあね、……」
『いるよ』


何唐突に聞いてんの私!馬鹿!! とか思ったけど、
唐突じゃなくても聞いちゃダメだった。


さっき彼女いないの痛いよって言ったら否定しなかったじゃん。
余計なお世話だって言ったじゃん。
……あぁそれって。
彼女はちゃんといるからお前には関係ないよってこと?
……そっか、そういうことか。


一人で結論まで行き着いちゃって、
勝手に行き着いちゃったのは私なのに、
鼻がツンとしたかと思ったら、目の端に涙が滲む。

二宮さんの隣では絶対泣いちゃダメだって、涙堪える顔は絶対絶対不細工だ。


『……カナちゃん?』
「……」
『どうした?』


やめてよ。
優しく名前呼ばないでよ。
優しくどうした?とか聞かないでよ。

優しく、頭撫でたりなんかしないでよ。


「なんにもないっ!!」


二宮さんの、私よりも細いんじゃないかっていう華奢な体を押して
リビングを逃げるように出た。

涙が、止まらなかった。
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