第13章 風船ガム
「それにこんなの借りたって、どうせ濡れるアル!」
「ねェのとあるのとじゃ結構違ェでさァ」
「お前に借りを作るなんてまっぴらごめんネ!」
「俺が旦那にどやされるよりはマシでさァ」
沖田はため息を吐いた。
「!?」
神楽の白い頬に触り、少し上を向かせた。そして、優しく自分のそれと神楽のそれを合わせた。
「……!?」
神楽は顔を真っ赤にした。
「な、ななななな!?」
沖田はそんな神楽を置いて、1人で外に出て行こうとする。
「ま、待つアル!」
沖田は神楽を振り返った。
「な、なな何で……」
「何でしたかって? そんなの簡単でさァ」
沖田は優しく笑った。
「お前のことが好きだからでさァ」
「!?」
神楽はさらに顔を真っ赤にした。
「晴れの時も雨の時も関係ねェでさァ。俺が……お前の傘になってやらァ」
「!?」
突然の告白に神楽は何も言えなかった。
「返事は明日聞かせろィ。駐屯所で待ってるぜ……神楽」
沖田は雨の中、走り去ってしまった。
「……ズルいアル……」
神楽も沖田の上着を傘にして、自分の家に向かって走って行った。
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