第15章 誰にも渡さない
いつも通り、平和な日常が訪れている今日この頃。真選組の屯所にも束の間の平和が訪れていた。しかし……。
「びじがだぐんんんんん!! だずげでぐれよおおおおお!!」
「知らねェよ! んなの、てめェんとこの問題だろーが!」
眉間に皺を寄せて、頭の所々に怒りマークが見えるような形相の土方十四郎がジャンプ主人公とは思えないほど、顔を涙でぐしゃぐしゃにした坂田銀時の世話を焼いている。
「うう……俺ァ、神楽が彼氏を作ってたなんて……彼氏なんて……」
「そりゃ、誰にだって恋の一つや二つくらいするだろーが。いい加減にしろ!」
「モテる男にはわかんねーんだよ! 神楽はそんなふしだらな女の子じゃありません!」
「だーれがふしだらだ! さっさと帰れ!」
今日の業務で事務仕事に追われてる者がたくさんいる中、大声で泣き、大声で叫び、つらつらと文句を言っている。
「がえれねェんだよ……家にはあの海坊主がいるんだよ……あいつと話してても埒が明かねェんだよ……」
ーーそれはそうだろう。たった1人の愛娘が、どこの馬の骨かわからないような奴と付き合ってるなんてわかったら、あの宇宙最強の海坊主が黙ってるわけがない。地球が吹き飛んでもおかしくないのだ。