第13章 風船ガム
神楽はため息を吐いた。
「お腹も空いてきたアル。酢昆布は全部なくなってしまったし……」
そんな神楽の目の前にガムが現れた。
「こんなのしか持ってやせんが……いりますかィ?」
「……」
神楽は少し躊躇ったが、お菓子には負けたようで……。
「……仕方ないから貰ってやるネ。お前のっていうのがムカつくけどナ」
「そうですかィ」
神楽は風船ガムを1つ取って、口の中に放り込んだ。甘いイチゴの風味がする。
「……なかなか美味しいアルナ」
「そうですかィ」
沖田は風船ガムを器用に膨らましている。
「あー、そうだ」
沖田は自分の上着を神楽の頭に乗せた。
「な、何するネ!」
「何するってそれを貸してやるってことでさァ」
「はァ!?」
沖田は空を見上げた。
「今日の雨は明日まで止みませんでィ? 明日までずっとここにいるわけにはいかねェだろィ」
「それなら、濡れて帰るからいいネ」
「濡れると風邪ひくだろィ」
「……」
神楽はじとーとした目で沖田を睨んだ。
「お前には関係ないアル」
「確かにそうでさァ。とりあえず、それは貸してやる。明日返しに来い」
「おい! お前、人の話聞くアル!」
「聞いてるでさァ」