第13章 風船ガム
「女の子相手に得物を使わないと勝てないなんて、無様アルナ。それだけ、この神楽様が強いということを認めてるってことアルナ」
「バカ言ってんじゃねェでィ。お前のどこが女なんでさァ? 夜兎が聞いて呆れるぜ」
「何おー!」
カーン!
試合開始のゴングが鳴った。
2人は一斉に相手に向かって行く。が……。
ザー!
「うわっ、雨だ!」
「雨が降ってきやがった!」
観客は大慌てで、その場から離れて行く。
「チッ」
沖田は舌打ちをした。
「おい、チャイナ。俺らもひとまず、雨宿りした方がいいんじゃねェですかィ?」
「……そうアルナ」
2人もその場から離れて、屋根のある小屋の中に入った。
ガラガラガッシャーン!
「うわ……雷まで鳴ってきやがった。こりゃァ、当分は止みそうにねェでさァ」
「運が悪いアル。お前と2人でこのままなんて」
明らかに気分を害したらしい神楽は口を尖らせて言った。
「……お前、傘はどうしたんでィ?」
「……忘れてきたアル」
「……」
「……曇りだからいらないと思ったアル。どのみち、夜兎は常に傘を持ち歩かないといけない人種だということが今日でよくわかったネ。これからは忘れないようにするアル」