第1章 俺のお姫様
「……可愛いぜ、神楽」
「!?」
それを聞いた瞬間、神楽は顔を真っ赤にさせた。
「旦那だろうが、メガネだろうが……んなことは関係ねェでさァ。その格好をしてる神楽を誰にも見て欲しくねェ。俺だけしか知らねェことにしてェんでさァ」
沖田は顔を離して、神楽に優しく微笑んだ。
いつものようなドSな笑みではなく、柔らかく穏やかな笑みで。
「好きですぜ、神楽」
「!? ……ハァ!?」
神楽は唐突に言われた言葉に頭が追いつかず、何が何だかわからなくなってしまった。
「お、お前! さっきまで私のことバカにしてたダロ!? 何が今更……」
「今更ですかィ?」
「今更アル……セコいヨ」
神楽はプイッと顔を横に背けた。
沖田はそんな神楽を見て、ククッと笑った。
「あんなの、いつもと同じじゃねェか。まァ……照れ隠しってやつでさァ」
沖田は少し恥ずかしそうに言った。
「で?」
「で? って……何アルカ?」
「俺の告白の返事は……ダメですかィ? 神楽?」
沖田は真剣な目を神楽に向けた。
壁と沖田に挟まれて、逃げられなくなってしまった神楽は顔を下に向けた。
「……」