第1章 俺のお姫様
沖田はやれやれといった様子で神楽をバカにした。
「何だと!? お前、そんな言い方しなくてもいいダロ!」
神楽はそう言うと、馬鹿にされた怒りに任せて沖田の整っている顔面に向かって拳を入れた。しかし……。
「甘いでさァ」
神楽の拳は難なく沖田に余裕で受け止められてしまった。だが……。
「ナメるなヨ」
それで諦める彼女ではなく、神楽が言うと同時に、沖田が後ろに吹き飛ばされた。ーー神楽に腹を蹴られたのだ。神楽は沖田に拳を受け止められた後、彼に悟られないようにすぐに蹴りの準備をしていた。
「痛ェ……」
後ろに思いっきり吹き飛ばされた沖田は腰を押さえて、立ち上がろうとしていた。
その様子を見て、神楽は勝ち誇ったように高笑いをした。
「ホホホホホ。この神楽様をバカにするから、痛い目を見るアルヨ。これに懲りたなら、もう私をバカにするのはやめるアル」
「チッ」
沖田は舌打ちをして、立ち上がった。服に付いた土を払い落とす。
「そもそも、何でそんな格好してんだ? 誰かに見せるわけでもねェのに……」
「見せる相手ならいるネ!」
神楽は腰に手を当てて、胸を張って言った。