第5章 手に入れたいもの
キーンコーンカーンコーン
『下校時刻になりました。教室に残っている生徒は戸締りを確認して、速やかに帰りなさい』
下校時刻を知らせるチャイムと放送が流れた。
「うー! もう、そんな時間アルカ!」
神楽は伸びをして、時計を見た。それから、自分が居残りの時間でやり終えたプリントの山を見て、満足したように笑った。
「これだけやれば、銀ちゃんも文句言わないアル! さ、かーえろっと!」
神楽は荷物をまとめてカバンを持った。
「……」
そこまでの行動を終えてから、神楽は静止してしまった。
「……何でお前がいるアルカ!」
神楽は人差し指を向けて、教室の入り口の前に立っている栗色頭の男に叫んだ。
「そんなもん、言うまでもねェでさァ。昼寝してたら、いつの間にか下校時刻になってたってだけでィ」
ーー沖田総悟だ。沖田は事実上の3Zの風紀委員だが、仕事はほとんどしておらず、いつも授業中は寝ていた。
「こんな時間まで寝てたアルカ!? どんだけ寝足りねェんだヨ。お子ちゃまカ!」
神楽は沖田をバカにしたように笑った。
沖田はムッとした顔をしてから、意地の悪い笑みを浮かべた。
「お前こそ、銀八が作るような簡単な国語のテストで赤点なんざァ、ざまァねェなァ?」
「何だと!」
神楽は沖田のバカにした言い方に腹を立てて、殴りかかった。だが……。