【3Z】犬のように愛し猫のように可愛がる【R18/BL】
第13章 思わぬ落とし穴
何か隠してる。
銀八は校長室で先ほどの八雲の態度を思い出しながら確信した。
どうも様子がおかしいんだよなぁ、あいつ。
文化祭よりずっと前から。
校長の小言を聞き流しながら、考えをまとめるため八雲の様子を振り返ってみる。
初めて会った時は単に大人しい奴だと思っていた。妙に正義感が強くお人好し。しかもバカがつく程の真面目ときた。
まぁだからこそ安心して仕事は任せてこれたが、何だかあいつを見ていると心配になる。
その一番の原因はあの笑顔だ。
普通の人があの笑顔を見たらただその場を楽しんでいるような普通の笑顔に見えるが、銀八は違った。
作り物臭いんだよなぁ。まるで感情が分からねぇ。
他人を自分の中に踏み入れないようにしているように思える。
それが気になり今まで何処となく気にかけてはいたが、
休み明けテストで更に気になる出来事が起きた。
別にあいつを疑ってるわけじゃねぇが、高杉が素直に人の言う事を聞くとは思えねぇ。
クラスを気にかけて?そんな理由であの不良が来るくらいだったら世の中に武田哲也は必要ねぇよ。
それに、戻って来たあいつの様子がおかしかった。
最初見た時まさか暴力でも振られたかと思ったが、外見に目立った外傷はなかった。
痛みで体調が悪くなったわけでもなかったようだし。
いや、あの時のあいつの顔は、痛みや苦しさとかではなく、何というか…
そこまで考え銀八は小さく頭を振る。
中学生じゃあるめーし。何考えてんだか。
しかしその後もよからぬ考えが頭をよぎってしまう。