第3章 ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
初めてのリーマスの授業。
ボガートを使うらしい。
私は何度もボガートと対面した。
パトローナスの練習のときも、力を抑えるときも。
授業をしている最中、1人の男の子が気になった。
ドラコ・マルフォイ。
少し寂しそうに窓の外を眺め、すぐに悪そうな顔をして友達を見る。
「あの子.......。」
父親は何て言ったっけ?
覚えてないけど、ほんの少しだけ嫌な雰囲気をまとってる。
「こっちだぁっ!!!....リディクラス!」
声の方を見ると、ハリーの前にリーマスが立ち塞がり、魔法をかけている。
ボガートは一瞬満月に変身してから風船になり、入れ物の向こうに消えた。
「これにて授業は終わり。すまないね。」
ハリーは呆然と立ち尽くしてから教室を後にした。
みんなが居なくなった教室でリーマスがため息をつく。
「ハリーの怖いものはディメンターか....。」
「そりゃあ怖いでしょ。汽車の中で襲われたんだから。私だって怖いよ?ディメンター。」
「怖いという割には、汽車で一番状況判断が早かったじゃないか。」
「ふふっ、どうも。」