第6章 ハリー・ポッターと謎のプリンス
すぐに休暇が訪れた。
私は一度、騎士団本部に戻り、それからジョージと会った。
「リエル!」
笑顔で走ってくるジョージは、私をしっかり抱きしめた。
「ジョージ、会いたかった。」
「俺もだよリエル。あぁ、すごく嬉しいよ。」
しばらくそうしていた。
やがて体を離すと手を繋いで歩き始める。
「あのね、ジョージ。話があるの。」
「どうした?」
「……会うのは、今日きり。」
「え?どういう意味?」
「ごめんなさいジョージ。心の底からあなたを大切だと思った。だから、だからこそあなたのそばにいることは出来ない……。」
「どうしたんだリエル……。泣かないで。ゆっくり話そう。」
「オブリビエイト」
オブリビエイトは、忘却呪文だ。
強弱によって記憶の一部を消すことができる。
ジョージから、私に対する想いの記憶を消した。
「あれ?リエル!……あれ、何の話をしていたんだっけ?」
「ううん、偶然会ったの。私、もう行かなくちゃ。またね!」
どうか、元気で。
どうか生きていてね……。
そう強く思わずにはいられなかった。
目を腫らして騎士団本部に戻ると、リーマスが驚いた顔をしていた。
「リエル、何があったんだい?」
「リーマス……。」
あぁ、大切にしたい。
皆に生きていてほしい。
そのために、私と関わってはいけない。
「何でもないの。ちょっとジョージと喧嘩をしてしまって。もう寝るね。おやすみなさい。」
リーマスが口を開く前に部屋に戻った。
シリウス、教えて。
私のせいで皆死んでいく。
どうしたらいいのか分からないの。
魔法の力が強いだけでは、誰も守れない……。