第6章 ハリー・ポッターと謎のプリンス
「セブルス、何か隠し事をしているよね。」
「……していない。」
「また酷く疲れた顔をしているから。」
セブルスはゆっくり近づいて、私を抱きしめた。
すっぽりと腕の中に収まる。
昔から変わらない。
温かくて安心する場所だった。
「もう何も聞かないよ。困ってしまうでしょ。」
「リエル、お前も同じだ。何を思いつめている?」
「……みんな死んじゃう。私を愛してくれる人達は、みんな死んでしまう……。」
「……我輩は、死んでいない。」
その言葉は、自分も私を愛しているのだと伝えていた。
「だから、セブルスは生きていて。どこに居ても、何があっても……。お願い。」
セブルスもまた、父のような温かい存在である。
「……何があっても、我輩がお前を思う気持ちは変わらない。永遠に。」
セブルスは立ち去った。
しばらくして談話室に戻ると、皆が暗い顔をしていた。
ハリーが読んでいる本『半純血のプリンス』に書かれた呪文でドラコを傷つけたという。
「その本、隠さなきゃ。」
ジニーの言葉にハリーも頷く。
私は、半純血のプリンスについて疑問を持っていた。
『純血』という言葉はマグルの血が混じらない魔法使いのことを指す。
例えば私とハリーは母さんがマグルで、父さんが純血だから、半純血である。
半純血のプリンスという言葉に、憶えがあった。
ジニーとハリーが必要の部屋に入り、半純血のプリンスを隠す。
私は2人が出た姿を見送ってから半純血のプリンスを探した。
意外にも、すぐに見つけることができた。
この筆跡……。
文字を指でなぞる。
セクタムセンプラは私も知っている。
はるか昔、セブルスから習った。