第5章 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
「あんな言い方をしたのは、わざとハリーを突き放して遠くから見守るため、だろう?」
「そんなにいい子じゃないよ私は。」
「ハリーが自分といたら危ないからって、わざと突き放した。私にだってそのくらい分かるさ。」
シリウスは私の隣で同じように寝転がった。
「最初にお母さんのお腹にいたのは、ハリーだった。私はその後にお腹に存在した。」
「何でそんなことがわかるんだ?」
「.......選ばれし子供はハリーで、私はそのハリーを守るために運命が作り上げた騎士(ナイト)。」
「リエル、そんなふうに自嘲するのはやめなさい。」
「それでいいの。」
「よくない。」
「私はハリーを守るためだけに存在するの。それ以外に価値はない!」
「リエル!....なぜ君がそんなことを言い出すのかは分からない。だが、どちらかが先にリリーのお腹の中にいたなんて分からない。なぜなら、それは重要なことじゃないからだ。リエルもハリーも、リリーとジェームズの子供だ。」
分からない。
自分がなんで生まれてしまったのか、分からない....。
人を傷つけてしまうだけなのに。
周りの人を不幸にするだけなのに.......
「君に色んなことを背負わせてしまっているね。すまない。だが、これだけは言わせてくれ。リエルはハリーを守るためだけに存在するんじゃない。生まれたことには、必ず意味があるんだ。君が生まれてくれて私は希望を持てた。そうだろう?」
シリウスは寝転がったまま私を抱きしめた。
心の中がぐちゃぐちゃしてて、分からない。
分かっているのは、大切な人を守りたいだけなのに、いつもそれはうまくいかなくて、空回って、結局守れないってこと。
「シリウス..........側にいて....。お願い....。いなくならないで.......。」